あなたはなぜ働くのですか?

お早うございます。

柳原です。

いつもご覧になっていただき有難うございます。

先日、TV東京のルビコンの決断 で日本一社員に優しい会社と評される日本理化学工業㈱ を紹介していました。

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こちらの会社には15歳で入社して50年間、無遅刻無欠席で65歳の現在でも働き続けている方がいます。

彼女はいわゆる知的障害者です。

そう、こちらの会社では7割の社員が知的障害者なのです。

彼女を採用したのは当時2代目専務だった現会長の大山氏。

キッカケは養護学校の先生が「彼女達に働く喜びを味合わせてあげたい」と熱心に就職のお願いに来たことでした。

先生の熱心な想いと彼女達の同情心から「2週間だけの体験就職」という条件で引き受けます。

当時は障害者を採用する会社なんて殆どありません。

障害を持つ方は養護学校で就職できるようにと一生懸命、頑張って学習していきますが、結局、殆どは施設に入らざるを得ず一生を過ごしていく時代でした。

しかしこの2週間で専務のみならず社員の多くが不思議な経験をします。

17時の終業時間になっても「与えられた仕事がまだあるから」と帰りません。

昼食を早々に終わらせると昼休み中にもかかわらず仕事を始めます。

高熱を出して倒れても「大丈夫。頑張ります。私がいないと仕事が進みませんから」と立ち上がってまた仕事をしていきます。

自分達には理解できない行動の数々。

しかし、そんなシール1枚もちゃんと貼れなくとも、仕事に純朴に取り組む彼女達を見て、少しずつ社員の多くが心を動かされていきます。

とにかく一生懸命なんです。

とにかく、ひたむきなのです。

そしてついに約束の2週間が経ち、彼女達を引き取りに養護学校の先生が「2週間だけでも、彼女達に働く喜びを与えてくださり有難うございました」と挨拶にきた専務室に、社員一同がある直訴をしに来ます。

「彼女達を採用してあげてください」と。

「こんなに頑張る社員、他には居ません。

彼女達のお陰で私達も自分の仕事に誇りを持てるようになったんです。

仕事は私達が教えます。

だから、彼女達を採用してあげてください」と。

この時点でも、熱心な先生と同情心から2週間の体験就職で終わらせるつもりだった大山氏でしたが、さすがに社員の熱意な姿勢に根負けし、結局、採用します。

給料も一般社員と殆ど変わらずに。

できないながらも一生懸命働く彼女達に大山氏は頻繁に声を掛けていきます。

褒めたり声を掛けるたびに嬉しそうにする彼女達に大山氏も経営者としての誇りとやりがいに気付いていきます。

しかし真の現実がやってきます。

シールを真っ直ぐに貼るだけの簡単な作業をいくら教えても覚えない。
数を数えられない。

教えている最中にフラッと持ち場を離れる。

言葉を掛けてもハッキリとした返事が返ってこない。

突然の奇声や思っても見ない行動の数々・・・

そして彼女達の採用にあんなに熱心だった社員からも不満の声が漏れ始めます。

業務の合間を縫って教えているのに、フラッと持ち場を離れてしまう・・・

これじゃぁ私達の本来の仕事がはかどらない・・・

教えても教えても出来ない。数を数えたり真っ直ぐにシールを貼るだけなのに・・・

それなのに私達と変らない給料だなんて・・・

その言葉と思いは大山氏の所へも当然、届きます。

決定的なのが数値による生産性の低下と減収がハッキリと出たためです。

真の現実に直面。

社会に行き場のない彼女達に働く場を提供するという理想と、会社経営というコストと労力に見合う生産性と収益の確保のバランスが完全に揺らいだのです。

大山氏は悩みます。

彼女達の働く場としてこのまま採用してあげたい。

しかし生産性の低下と収益の確保は絶対に落とすわけにはいかない。

と・・・

さて、近年の就労状況の厳しさはご存知のとおりかと思いますが、そんな状況下にも関わらず近年の大学新卒社員の離職率は就労3年以内で約30%にも達します。

離職理由で多いのが、

①入社してみたら年配の方しかおらず話が合わない。

②(自分が)思っていた仕事とは違った。

③思った以上に通勤時間が掛かる。

などです。

番組コメンテーターとして出演していた大学教授の方は、こう表現していました。

「若者の消費者化」。

彼らにとって就職とは町のレストランに入るのと同じ感覚であると。

レストランに入ってメニューを注文したら思っていたのと違った。

だから次のレストランを探して入ってみる。

ウェイターやコックは自分にどんなサービスをしてくれるの?

どんな待遇を与えてくれるの?

働く場の環境は整えてくれているの?

就職したくても出来ない、それどころか拒否される知的障害の彼女達。

大学という環境に進むことができ、就職活動の機会を与えられ、しかもせっかく入社しても3年以内に30%が辞めていく今の若者。

話を基に戻します。

大山氏は理想と現実の狭間に悩みます。

そしてふと考えます。

「彼女達はそもそも一体何故、会社を辞めないんだ・・・

いつもいつも先輩達から嫌味や文句を言われ、怒られても怒られても遅刻も一切せず、誰よりも早く出社してくる。

それどころか高熱なのに出社してきて倒れるまで働き続ける。

そして1日も休まない。

一体、何故なんだ」。

何回も何回も「なぜ」という言葉を現実との狭間で繰り返し問うていきます。

そしてその何故という想いの答えはある時、知的障害の彼女達が行動で教えていてくれていた事に気付くのです。

大山氏は経営者としての会社を経営していくという崇高さと、働く事そのものの意味を知的障害の彼女達から知るのです。

続きは12月16日(水)にUPします。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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